寒い冬を乗り越え、あたたかな春の時期になると、いろいろな野草が旬を迎えます。
七草粥を食べるのも春の時期ですよね。
気候としても、食べられる野草や果実を探すのにぴったりな時期なので、お散歩がてら植物に目を向けてみても面白いかもしれません。
そこで今回は、春の時期に採取できるおすすめの野草&果実をご紹介します!
美味しくいただく為の基本調理法
春に採取できる野草&果実をご紹介する前に、野草や果実を美味しくいただくための基本調理法についてお話しします。
ポイントは以下の3点です。
まず、今回ご紹介する野草は身近にあるものですが、食用にする場合採取する場所に気を配る必要があります。
車の排気ガスのかかる場所や、犬の散歩ルートになっているような場所で採れた野草は、安全性の観点から避けた方が良いでしょう。
無事に野草を採取することができたら、下処理を十分に行いましょう。
野生で育った野草は、アクの強いものが多いため、熱湯での加熱処理や水にさらすなどの下処理を行う必要があります。
味に影響を与えるだけでなく、中には身体によくない成分を含む可能性もあるためです。
それぞれの野草ごとにアクの強さが異なるため、下処理の方法も変わってきます。
同じように生食の可否といった問題もあるので、下処理から調理方法まで野草ごとに調べることをおすすめします。
【春編1】身近にある食べられる野草&果実! オススメ一覧
たんぽぽ

採取できる時期 | 3月頃 |
生息場所 | 道端、畑、牧草地、川岸など |
特徴 | ・黄色い花をつける ・葉は、ぎざぎざと切れ込みが入った形をしている |
春の野草の中でも比較的見つけやすいのが、たんぽぽです。
黄色い花をつけるため目につきやすく、道端や川岸などで見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。
そんなたんぽぽは、花を天ぷらにしたり、茎をきんぴらにして食べることができます。
熱湯で茹でてアク抜きすれば和え物やスープ、炒めものなどにも活用することも可能です。
また、たんぽぽの根を刻んで乾燥させた後、焙煎してたんぽぽ茶として楽しむのも◎
母乳の出が良くなると昔から飲まれているたんぽぽ茶は、利尿作用や肝機能の改善効果も期待できると言われています。
ヨモギ

採取できる時期 | 3〜5月頃 |
生息場所 | 全国各地の野原や河川の土手など |
特徴 | ・草丈60~120 cmで根茎が横走している ・葉は6~12 cmほどで羽状になっている |
天ぷらやヨモギ餅に使用されるヨモギ。
実は多年草で年間を通して生息しています。
しかし食べられるのは新芽の部分で、5月頃から採取できるようになります。
先から15cmほどの柔らかい部分だけを手で摘み取り使用しましょう。
アクや独特の香りが強いため、調理する際は大量に入れないことがポイントです。
なお、ヨモギはトリカブトという毒性のある植物と見た目が似ているため、注意が必要です。
トリカブトの毒は、フグのテトロドトキシンに次ぐ猛毒とも言われるほど恐ろしいのです。
見分け方のポイントとしては、葉の裏側が白っぽくなっているのがヨモギです。
繊維質の毛が密集して生えており、全体的に白っぽく見えるためです。
↓左側がトリカブト。確かに形が似ている気がしますね。右側の画像はヨモギ。葉裏が本当に真っ白なことが分かります。
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イタドリ

採取できる時期 | 4〜5月頃 |
生息場所 | 野山、道端、土手など |
特徴 | ・たくさんの節がある ・茎には節ごとに赤い斑紋が入っている ・秋頃になると白い小花を穂状にたくさんつける ・幅広の矢じり型の葉をつける |
イタドリの新芽には利尿作用によるデトックス効果があると言われています。
さらに乾燥させた根には、便秘や月経不順、膀胱炎の改善にも効果があります。
しかしアクが強くそのままで食べることができないため、北海道や高知県などの限られた地域でしか食べられていない野草です。
熱湯で茹でた後、半日から1日程度水にさらしておくことで、アクが抜け煮物や炒め物として楽しめるようになります。
年中育つイタドリですが、新芽の時期以外は硬い上に酸っぱいため、食用とするなら春がおすすめです。
ワラビ

採取できる時期 | 3〜6月頃 |
生息場所 | 野山 |
特徴 | ・茎や開く前の葉の部分に産毛が沢山ついている ・比較的日当たりの良い場所に生える |
全国各地の野山で比較的見つけやすいのがワラビです。
ワラビの根には澱粉が多く含まれているため、ワラビ餅のもととなるワラビ粉が作られます。
若芽の部分は山菜としておひたしなどにして食べることができます。
ただし、ワラビにはプタキロサイドという天然毒が含まれるため、しっかりとアク抜きをする必要があります。
穂先を取り鍋にワラビと重曹を入れたら、熱湯を注ぎ落とし蓋をして半日以上置きます。
その後、黒っぽいアクがでなくなるまで水を入れ替えながら洗うとアク抜き完了です。
時間はかかりますが、面倒な処理などはないので簡単にできそうですね。
つくし

採取できる時期 | 3〜5月頃 |
生息場所 | 草原や田畑の畦など |
特徴 | ・一本の茎のてっぺんに胞子を含んだ穂を持つ ・茎の部分にはいくつかの節がある ・節の周りにハカマと呼ばれる茶色い葉が付いている |
春の野草として有名なものの一つにつくしがあります。
独特な見た目をしているので、知っている方も多いのではないでしょうか。
つくしは、カロテンやビタミンEなどアンチエイジング効果が期待できる抗酸化成分を多く含みます。
加齢に伴う病を予防したい方におすすめの食材です。
節の周りにあるハカマ部分を取り除き、下茹でをしたら卵とじや佃煮、天ぷらなどにアレンジができます。
ワラビなどの山菜と組み合わせて、蕎麦やうどんに乗せるのも良いですね。
つくしといえば、和食のイメージがありますが、パスタなどの洋食アレンジレシピもありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
オオバコ
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採取できる時期 | 4〜5月頃 |
生息場所 | 道端や空き地、土手など |
特徴 | ・葉の部分はロゼット状に広がる ・高さは10cm程度 |
年間を通して全国で見られるオオバコ。
葉の部分の高さは10cm程度ですが、20cm程度まで真っ直ぐに伸びる花茎をつけます。
小さな白い花をつけ、見た目にとても可愛らしい野草です。
種子や根、葉など全草に有効成分を含んでいるため、お茶や漢方の生薬として古くから使用されてきました。
オオバコは、春の時期になると、若い葉の部分を摘んで食べることができます。
ほうれん草に似た味なので、天ぷら・おひたし・ごま和えなど和食へのアレンジがおすすめです◎
カタバミ
採取できる時期 | 4〜5月頃 |
生息場所 | 道端や庭、畑、空き地など |
特徴 | ・シロツメクサに似たハート型の葉を持つ ・黄色い花をつける |
四つ葉のクローバーで知られるシロツメクサ(白詰草)と葉が良く似ているカタバミ。
カタバミの葉は先端に切れ込みが入ったようなハート形しているのに対し、シロツメクサの葉は先端が丸くなっています。
また、シロツメクサには白いV字の模様が入っているため、葉の部分を見ればある程度は見分けられるでしょう。
シロツメクサも春の時期に食べられる植物ですので、間違えていても大きな問題にはなりませんが、軽い毒性があるため生食は避けましょう。
カタバミは消炎、解毒、下痢止めなどに効果があると言われており、生薬として使われることもある野草です。
生命力が強いため道端でも見つけることができますが、食用にする際はなるべく綺麗な環境に育つものを選びましょう。
カタバミは生食可能な野草ですので、軽く茹でて冷水にさらせば、サラダや酢の物にして食べることができます。
↓左側がシロツメクサ。右がカタバミ。見た目は似ていますが、よく見ると葉の形で区別できますね。
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ナズナ
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採取できる時期 | 1~4月頃 |
生息場所 | 道端、田畑、荒れ地など |
特徴 | ・白色でハート型の実をつける |
ナズナは春の七草の一つで、代表的な春の野草です。
白色でハート型の実をつけるナズナは、生命力が非常に強く荒地でも育つのが特徴です。
そのため比較的見つけやすいですが、食用にする際は、排気ガスなどの影響を受けていない場所でとれたものを使用しましょう。
色鮮やかで見た目にも美しいため、おひたしやお粥、天ぷらや酢の物など幅広い料理に活用できます。
ほうれん草に近い栄養成分を持つため、中国では漢方薬としも用いられるなど健康野菜として知られています。
ユキノシタ
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採取できる時期 | 4月頃 |
生息場所 | 日陰など湿度が高く涼しい場所 |
特徴 | ・葉の大きさは5cm程度 ・葉の表面は産毛に覆われている ・葉脈に沿って白い斑点がある ・葉の裏面には白い斑点はない |
日陰など湿度の高い場所に生息するユキノシタは、年間を通して採取できる野草です。
解熱、鎮咳、心臓病、腎臓病、腎結石など様々な病に効果があると言われています。
風邪の時などにユキノシタを飲んだ経験のある方もいるのではないでしょうか。
しかし、食用にするなら春がおすすめです。
キレイで柔らかい葉を選んで手でとったら、表面をこするように丁寧に洗いましょう。
ユキノシタの食べ方としては天ぷらがあります。
天ぷらにする際には、葉の裏面だけにうすく衣を付けて揚げる白雪揚げがおすすめです。
しっかり茹でた後に水にひたしてから、酢味噌和えやごま和えなど和物にするのも◎
カラスノエンドウ
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採取できる時期 | 3〜5月 |
生息場所 | 道端や空き地など |
特徴 | ・10~15mmほどで、蝶のような形をしたピンク色の花をつける ・花のあとにさや状の実をつける |
カラスノエンドウは春に紅紫色の花を咲かせる、マメ科ソラマメ属の野草です。
蝶のような形をしたピンク色の花をつけた後、エンドウと同じようにさや状の実をつけます。
さやの部分だけ採取したら、しっかり汚れを取り除いて下茹でします。
アクのあまりない野草ですので、天ぷらや和物のほか、中の実を取り出して豆ご飯にすることもできます♪
なお、カラスノエンドウは成長が進むとさや部分が黒くなってきます。
↓この状態になると非常に硬くなってしまうため、食用には向きません。

まとめ
以上、身近にある春の野草&果実をご紹介しました。
暖かくなる春は、野草も豊富に食べごろを迎えます。
少し散歩すれば何か食べられる野草や果実にも出会えるかもしれません。
ぜひいろいろな調理法でお気に入りの味付けを探してみてくださいね♪
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